細田守作品の大ファンの次男に連れられて見に行ってきました。
ゆるっと感想を。
ネタバレ含みます。
感動いまだ冷めやらぬ状態ですので、乱文ご容赦ください。
よかったです。
涙腺崩壊、とまではいかないけど、母性をぎゅっとわしづかみにされっぱなしでまいりました。
九太の雰囲気が次男とちょっと似てるところがあって、ついつい感情移入。
大テーマは「家族」
「おおかみこどもの雨と雪」が母と子でしたが、今回は父と子です。
そしてそれぞれが抱える「孤独」を埋めていく物語です。小さなお子様にはやや荷が重かろうて。
(ちなみに「おおかみ~」は息子との別れが心底苦しくなるので苦手です・・・)
まず、オープニングの火をモチーフとした演出に、のっけから魅了されました。
全編通して映像美に感嘆していたのですが、ここと最後の戦闘シーンは格別です。
この辺をいいだすととめどがないので割愛します。
前半のあらすじ
交通事故で母を失い、父は行方知らず。
九太(本名:蓮)は孤独に渋谷街をさまよううち、熊徹に武芸の弟子として拾われ、化け物の街「渋天街」で生きる決心をします。
熊徹という男がまた、粗暴で下品。腕っぷしの強さだけで生き抜こうとする破天荒な人物。
ですが、傍らにはいつも多々良と百秋坊がいるあたり、ガキ大将的な愛されキャラということが伝わってきます。
ヒーロー活劇の王道ですね。
孤独に生きてきた不器用な熊徹と、親を失ったばかりの行き場のない九太。
反発しあいながらも惹かれあい、武芸を高め合うことで、2人の孤独が埋められていきます。
8年という年月を経て、いつしか師匠と弟子というわくを超え深い絆ができていたふたり。
8年、、、宗師さん、えらい長いこと悩んでらっしゃった、、
キーマンとなりそうなライバル猪王山と、どう見てもあんた人間やろな一郎彦がフラグをたてますが、前半は全体的にほのぼのと流れて行きます。
前半の感想
強くなりたいと修行に身を投じる九太が、はじめは不憫で仕方なかったのですが(だって齢9歳!)成長するにつれ、たくましく、楽しそうに生活する様を見て、かーちゃんホッとしたのでした。
熊徹の真似をする九太がかわいかったですね。
世の父と息子って、意外と熊徹と九太の関係に近いかもしれないと思います。
母と違い、絶対的な親子の証明ができない分、一緒に過ごすことで徐々に家族になっていくんじゃないでしょうか。
不器用なところと口の悪さもうちの主人とそっくり。
物語後半
ちょっといろいろ放り込みすぎじゃないか?と正直思いました。
人間界に行き来するようになった九太は、楓という女子高生と出会い、今までの時間を埋めるように勉学にいそしみます。
吸収力がスポンジ並みにすごい。
ずっと勉強し続けてるとうんざりするものですが、やはり人には知識欲というものが存在するのでしょうか?
後で受験生の次男に「きみも渋天街で生活してきたら勉強する気になるんかな?ちょっと行ってみてはどうよw」と茶化したら「アニメだし」と食い気味に一刀両断されました受験生こわいです。
人間界に溶け込んでいく九太に対して、それを懸念する熊徹。
ついつい厳しい態度をとってしまいます。
九太がけっこうあっさり人間界に行ってしまうので、わたしも悲しくなりました。
ザ・親の心子知らず。
わかるんですよね、熊徹の気持ちも九太の気持ちも。
新しい世界にどんどん飛び込んで行く子どもと、置いていかれるさみしさをどうにもできない親心。ふたりの心の葛藤が痛いです。
実の父親と再会したシーンでは、徳光さん並みに号泣しました(心で)。
父親が息子を抱きしめる。ベタなシチュエーションがいい!ベタだけど!
父親がすこぶるいい人でほんとによかった。わたしの中で細田さんの株が一気に上がった瞬間です。
かなり詰め込んだ内容ですので、駆け足でこの後のあらすじをまとめると、
猪王山と宗師をかけて戦って熊徹が勝利し、ぶっこわれた一郎彦が暴れ始め、止めようとする九太と渋谷ですったもんだし、剣というスタンドとなった熊徹が九太とともに勝利する、というのが後半の主なストーリーです。(えげつないほど雑でごめんなさい)
胸熱ポイント
愛情の拡散
百秋坊と多々良が「誇らしいな」「誇らしいぜ」とつぶやくシーンが、じわっと来ました。一番好きなシーンかも。
近所のおじさんおばさん、地域全体で子どもを育成していた古き良き時代を彷彿とさせます。九太もそれを分かっていての感謝の言葉にもキュンときます。
「意味は自分でかんがえろ」
熊徹が何度も言う言葉。好きです。
手取り足とり教えがちな昨今。そして分かんない事は検索すれば秒速で答えが出ます。
考える前に答えが見つかることは、実は何も分かっていないのと同じかもしれない。あれ、なんかいい事いったかも。
答えそのものより、考えることが大事だということでいいでしょうか。それとも自分で考えたことが答えなんだということ?あれ、えっと、ちょっと混乱してきた。
「キミとなら強くなれる」
告知にも使われているフレーズ。
熊徹と九太、ひとりでは負けていただろう場面がいくつか出てきます。仲間とか絆とか大事なんだってばよ!と、ありがちなんですがやっぱり感動しちゃいます。
映像のクオリティ
渋谷での大乱闘では、映像美にただただ感激してしまいました。クジラが舞飛ぶ美しさと迫力は、これだけも映画館で見る価値あったと思えたほど。
モブの作り込みも定番ながら圧巻です。
無償の愛
自分を犠牲にすることに微塵も迷わず、九太と一体となった熊徹。まさに親の姿そのものじゃないでしょうか。
猪王山と一郎彦の親子関係が、九太たちとの対比として描かれていますが、こちらは表向きうまく行っているようで実は本音でぶつかることができなかった典型ですね。切ないです。
自分はどうだろう。ちゃんと見るべきところを見てるんだろうか、、、
孤独を埋める
孤独を埋めたアイテムが、渋天街では「剣」(強さ)、人間界では「本」(英知)であり、どちらもキーパーソンによってもたらされます。かけがえのない存在と、このふたつが自分のものとなった時、人は孤独から脱却できるのだというメッセージが込められていると解釈しました。(違うかもしれんけど)
そして剣と本が伏線としてとてもうまく表現されています。
声優陣
今回よかったと思います!
わたしは俳優さんが声優をやるのは好きじゃありません。
映画はプロ声優さんのほうが映画に集中できます。
ですが今回はほぼすべてのキャストさんがうまくハマっていて、映画に集中できました。
特に役所さんは素晴らしかったですね!
ただ楓がしゃべるたびに広瀬すずちゃんの顔が浮かんできました。下手ではないのですが、うーん。
次男も、「広瀬すずが強えぇw」と。
まぁ大泉洋も強いけど違和感なかったんですよね。
つっこみどころ
渋谷での戦いで、九太がなぜ自分の闇に一郎彦の闇を取り込むことで解決すると思ったのか最大の謎です。
そういう細かいデティールの説明がはしょられてる個所が多すぎますね。原作には書いてあるのかしら。
なぜ一郎彦が鯨という字を読めたのかとか、記憶喪失ですべてを許されるなんて甘いとか、楓が渋天街に「来ちゃった。ハート」しちゃうのはいかがなものかとか、白いのは何なんだとか、世間一般でも疑問視されてる部分は多いですね。
きっとすべてのつじつまを合わすには時間が足りないんでしょう。そういうことにしよう。
わたし的には、あんな優しそうな父親と母親がなんで離婚したんだろうとすごく不思議。すでに原作を読んでいる次男に聞いても分かんないとのことで。
もしかしたら、あのうるさそうな親族に原因があるのかとか、妻が同窓会でつい流されて元彼と昼顔しちゃったのがバレたんだろうかとか、あれこれ下世話なことを考えてしまうあたりワイドショーに毒されてるな自分。全部ミヤネヤのせい。
まとめ
どういうわけかイマイチという批評も一部あるようですが、わたしは大好きな作品です。
大人が見ても、子ども世代が見ても、それぞれに感じるおもしろさが違うのもまたいいですね。
DVDが出たら買ってしまうかも!
思いのほか長くなってしまいました。^^;書き散らした感じになってしまいすいません。
コメントを残す